オルヴィエートOrbietoから車でトーディTodiへ向かう。
途中、テヴェレTevere川沿いの道に合流し、その川に平行して走っていたかと思うと、今度は急斜面 をグルグル回りながら登り始めた。

どの位そういう状態だったのかも覚えていない。乗り物酔いのひどい私にとって、拷問のような道のり。ひと山まるっと越えて、ちょっと平坦な道を走って行くと、やがてトーディの町が目の前の山の上に見えてきた。
その山麓にさしかかったとき、見覚えのある空色のクーポラの教会がに飛び込んできた。
 
以前見た、モンテプルチャーノMontepulcianoのサン・ビアージョ教会Chiesa di San Biagio教会に似ている!

 

歓声を上げている間に、コンソラッツィオーネ通 り
viale della Consolazioneを登りきったところで
車を降りた。興奮を抑えつつ、まずは町の中心ポポ
ロ広場Piazza del Popoloへ。

マッツィーニ通りvia Mazziniから、ポポロ広場に
一歩足を踏み入れると中世に建造されたというドゥ
オーモ Duomo、ポポロ館 Palazzo del Popolo、
カピターノ館Palazzo del Capitano、プリオリ館Palazzo dei Priori、といった歴史的重要な建物
が広場をどっしりと囲んでいた。

その中でも、ドゥオーモの大階段から一際たくさん
の人が溢れ出て来るのが見えた。私達も吸い寄せら
れるようにそちらへと向かった。
 

とりわけ白いドゥオーモのファサードは、白いゆえに上品で女性的な印象だ。中に何があるのだろうと、大階段を急ぎ足で上り、中央の扉からドゥオーモ内部へ入ると、やはり中も白い空間になっていた。ロマネスク様式で復元されている内部は、むき出しになった天井の木の梁が規則正しい美しさで、全体的に華やかさこそ無いがしっとりとした雰囲気は、"清楚"という表現がふさわしい。

   

   ←壁面 のフレスコ画
中では、ミサが行われていて、厳粛なムードが立ち込めていた。しかし、なぜか観光客は、入口に向かってシャッターを切っている。入口近くに棒立ちの私が邪魔のようだ。気まずさもあって思わず振り返ると、入口の上はフレスコ画がびっしり描かれていた。(上右の写 真)

厳粛なミサの最中、見上げたフレスコ画は歌声と共に昇天するかのような迫力で、私をその場に釘付けにさせた。


感動で胸がいっぱいになっても、悲しいかな満たされないものもある。

時間は昼の12時をまわっていた。ポポロ広場にあるインフォメーションで、「おいしいウンブリア料理を食べさせてくれるレストランはありませんか?」と訪ね、教えて貰ったお店が"ヤコポーネRistorante Jacopone"。 そこは短いマッツィーニ通りを挟んでポポロ広場と繋がった、小さなヤコポーネ広場Piazza Jacopone に面したレストランで、肉料理が特においしいお店だそうだ。
店内は落ち着いた内装で、アナグラのような雰囲気だ。

実は入店時、お客は私たちともう二組しかいなかったので、少し味が心配だった。けれど、注文した食事がどれもおいしくて、セコンド(メイン料理)として注文した、お肉の盛り合わせの絶妙な焼き加減と味付けに感動しながら、再び店内を見回す頃にはいつの間にか満席になっていた。






 
   さて、今度は町を一巡り。

イタリアの町を歩いていると、時々いつの時代にいるのかと錯覚する事がある。この町でも、そういった感覚になっていた。はるか見下ろせば、ウンブリア Umbriaの豊かな大地が広がっている。スケールの大きな風景に、
“数百年前の昔の人々も、この場所から同じ景色を見ていたのかな”
などと、静かな感動が沸いてきたのだった。

一通り町を巡ったので、次は町の麓で見つけたあの教会へ向かう。
長い坂道のコンソラッツィオーネ通りを、ブラブラと下ってゆく途中、山の上にある町トーディ全体がよく見える、眺めのいい場所でちょっと休憩。山道沿いの森が開けた先に、そのサンタ・マリア・デッラ・コンソラッツィオーネ教会 Il Tempio di Santa Maria della Consolazioneが現れた。

ポツンと町はずれの麓に立ち、ギリシャ十字のプランで設計されていることなど、モンテプルチャーノのサン・ビアージョ教会とで似ていることへの親近感もさることながら、青い空に溶け込むような空色のクーポラは、何度見ても無条件に美しいと感じてしまう。

  
トーディの旅の締めくくりは、懐かしい風景と快晴も手伝って、期待以上に心温まるものとなった。