陽が沈むまでには着きたいと思い、フィレンツェFirenze を発ち、1時間30分。トスカーナの丘陵を眺めながらの列車の旅は、あっという間にかつてのエトルスキの都市オルヴィエートOrvieto に着いた。早速、ホームから見える町の雰囲気を映像に納めようとビデオを構えるが、そこから町の様子はつかめない。諦めて、町への交通 手段である駅前のフニコラーレに乗り込み、山岳都市へと上がって行く。

オルヴィエートの街は、自然の要塞に見える、盛り上がった土壌に乗った船のような形をしている。フニコラーレは街の端に到着し、チェントロ(中心地)へ向かって趣のある町並みを提供してくれる。まずは駅横にある有名なサン・パトリッツオの井戸Pozzo di S.Patrizio(見学は4月〜9月は10時〜18時45分、10月〜3月は10時〜17時45分、入場料は大人6000リラ、子供4000リラ)に直行。下りと昇りの階段が分かれている合理的な井戸だ。見学の後、翌日、人によっては翌々日の筋肉痛を覚悟したい。
陽は徐々に傾きかけている。西日に輝くドュオモDuomoが見たい。まだかまだかと歩く事10分程。もしや通 り過ぎてしまったか、と少々不安に陥りながら、人通りの多い街角に到着。どの国も、観光地の目印は軒を連ねる店の多さで知る事ができる。ここも例外ではなかった。ドュオモの横顔を道先に確認。いざ、イタリアで最も美しいドュオモの一つと言われているオルビエートのドュオモへ。
教会のファサードが傾きかけた太陽の光で黄金に輝く頃、感動の出合を果 たした。シンプルでバランスの良い正面顔、なにより品の良い輝きに、美しいと言われる由縁を感じさせる。

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オルヴィエートと言えば、ウンブリア地方にいくつか点在するエトルスキ(古代ローマ時代以前に存在していた、未だに謎の多い文明)の街の一つで、現存する街の地中に、かつての都市が眠っている。そういう訳ではないが、結果 論として、出会ったもの見学したものが、”エトルスキ三昧”を招いてしまうことになった。

食事前、闇迫る街を散歩がてら立ち寄った小さな博物館ポッツォ デッラ カーヴァPozzo della Cava(見学は8時〜20時、月休、入館料は大人3000リラ、子供2000リラ)は、近年発掘されたエトルスキの井戸と住居を見せている。博物館を出て、小さな通 りに一歩入ると、オレンジ色の薄暗い街灯で時代を錯覚させられる。しかし、我々を襲う空腹感で、時間の錯覚までは起こらなかった。


夕食は、ホテルで最高に美味しいと紹介された「エトルスカ ETORUSUKA」へ向かう。ここのパスタで、白トリフのかかったウンブリテッラ(御当地パスタ)は、香も良く味も上手い。ただ、最後に選んだドルチェは、限りなく砂糖に近かった。ドルチェはあくまでも甘く・・という事でしょうか。エスプレッソで終わりにし、一度会ったら忘れられない風貌(西川のりお似)のカメリエーレのサービスに満足。

朝、観光客を迎えるオルヴィエートの通りは、行き交う人々で活気づいている。

通り外れにちょっと目だつ店構えを発見。呼ばれるままに中に入る。エトルスキや古代文明の雰囲気を現代風にレニューアルしたオリジナルジュエリーのお店だった。自分達の作品に、誇りを持って淡々と熱く語る2人のデザイナーに刺激される。


11時。街のインフォメーション前から、予約したエトルスキ地下探索ツアーViaggio nella "Citta sotterranea"(出発は11時、12時15分、16時、17時15分の1日4回、入館料は大人10000リラ(20人以上の団体は8000リラ)、子供6000リラ、要予約)に出発する。それは、約1時間程のコースで、地中に眠るエトルスキの住居を巡るツアーだ。埃まみれになりながら、オルヴィエートの新旧と、変貌した地形の変化に、永い時の流れを感じる。街の地下発掘は、今あるオルヴィエートの街の陥没を招く恐れがあるため、既に中止され、このツアーで見学できる範囲で終了している。


小さな街なようで小さくない、大きな街と言うには、さほどでもない。丸一日あれば、全体をゆっくり歩き廻れ、街を知った気にさせる。オルヴィエートは、そんなちょうど良い大きさの街だ。そしていつの間か、”エトルスキ”のキーワードに巻き込まれ、オルヴィエートの街の歴史を知る事になるのだ。